日本人講師が、英語で次の記事の訳を考えるとどうなるか。
「東電の希望退職に1151人が応募」
おそらく
「希望退職ってなんていうんだ?」
と調べ、
voluntary retiremment
というのに行き着くはずだ。
(アルク、weblo など)
私もそう調べました。
でもあまりにもストレートすぎる。
でもう少し深く検索していくと、アメリカ在住でコンサルタントをしている有元美津世さんのブログに行きついた。
彼女曰く、
希望退職はvoluntary retirementと直訳的英語が出てくるが、現場では使わない。
という。実際は buyout という言い方をするらしい。
アメリカの About.com の Human resources のページの説明にbuyoutの説明が出ていたので引用する。
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Definition:
Buyouts are a common method for reducing the number and cost of employees. In buyouts, the employer offers some employees or all employees the opportunity to receive a large severance package in return for leaving their employment. Buyouts range from four weeks pay plus another paid week for every year worked to $150,000 that some auto companies recently paid their union workers to leave. Buyouts can also include benefits such as extended health care insurance, educational assistance, and help with job searching.
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http://humanresources.about.com/od/glossaryb/g/buyout.htm
通常、buyout というと、MBO (management buy out) という言葉は知られている。経営層がオーナーから会社の権利を買い取ることをいう。
その buyout にこういう希望退職の意味があるのは知らなかった。
有元さんも「辞書を作ってる人は現場の英語を知らない」というが、日本で英語を教えている日本人講師、あるいは一部のネイティブも、この単語を知らないかもしれない。
「ほら、だからネイティブのほうがいいに決まってるよ」
と思うのは早とちりだ。
voluntary retirement といえば、なんとなくそのニュアンスは伝わるはずだ。
そこで、「ああ、それは buyoutって言うんだよ」ときっと相手は教えてくれる。
そのときに、その言葉を覚えればいい。
そもそも、英語力とは、自分の言いたいことを、英語で工夫して言えること。
希望退職の定義を一生懸命考えて、
「うーんと、自分から辞めるんだから、自発的、つまり voluntary か?」
と思えれば、そこで合格だと思う。
生の英語にダイレクトには届かないかもしれないけど、そこに行く途中まではたどりつける。
それでいい。